今回ブログが始まって以来初めてプログラミング以外のことを書くこととなった。本日はドローン電子工作のお話。ドローンといっても社会的な問題を取り上げるのではなくあくまでバッテリー等の技術的な、理系一色な感じで話をしようと思う。


 2015年10月頃、訳あってDJI Phantom3というドローンを購入した。早速あけて家の中で飛ばしてみた。非常に安定しているし、操作が簡単で、とても面白い!
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 外では近くに飛ばせる場所がなくて、電車で2時間、はるばる奥多摩までいって飛ばしたのが外での初フライトとなった。がしかし、このPhantom3用のバッテリー(Intelligent Flight Battery)1つではたった25分くらいしか飛ばせない(これでも他のドローンよりはるかに長い)。こんなこともあろうかともう1つ予備バッテリーを購入していたが、あわせても長くて50分ほどしか飛ばせなく、せっかく片道2時間かけて来たのになんだか遊び足りない!もっと遠出した先で飛ばすのなら、やはり25分×5~10回は飛ばしたい。
 では予備バッテリーをもっと増やせばいいのではないか?これは一番簡単な解決方法だが、経済的によろしくない。1つ2万円するバッテリーを5本も買ったらそれだけで10万、次のドローンが買えてしまう。
(下のコレが1個20,000円)
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安い方法で何度も飛ばしたい!
何かいい方法があるはず・・・と思ってgoogle先生に聞いてみるもあまりパッとする案がない。一番有力なのが「Anbee シガーライターカーチャージャーとアダプタ 」(2,800円位)を使って車のシガーライター12vを電源として、Phantom3用バッテリーを充電して使いまわす、という方法。これならまぁバッテリー3つ程用意して、飛ばし終わったら即充電に回してってやればかなり遊べる。
ただその場に車がないと話にならないのが致命的・・・。



 まず、そもそもこのIntelligent Flight Batteryは本当に20,000円の価値があるのか、しっかり検証する必要がある。バッテリースペックは以下の通り。
電圧:15.2V(4セル)
容量:4480mAh
重量:365g
15.2 * 4.480 = 68.096 より68Whとわかる。
15.2÷3.8 = 4より4セル直列とわかる。

 次にそのほかの機能。この
Intelligent Flight Batteryは、ドローン本体からリアルタイムにバッテリーセルの各電圧をチェックできるだけでなく、充電回数寿命温度まで把握できるようだ。
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 確かに、バッテリー側には+-電極以外に信号線と思われる2つの金属端子が見えてる。これを介して、温度や電圧などの情報をやりとりしているのだろう。Intelligent Flight Batteryの付加価値はこういったところにある。
しかしこれだけではなかった。調べてみたところリポバッテリーを長生きさせる様々な機能があった。

 まず、自己放電機能。これはリチウム二次電池全般に言えるが、満充電で長期保管することはとても電池に悪影響。すぐに電池がダメになってしまう。そのため、このバッテリーには満充電で一定期間が経つと容量65%位まで自己放電してくれる機能が備わっている。素晴らしい!
 次に、高温での充電防止機能。リポバッテリーでは満充電並みに気をつけなければいけないのが45℃以上の環境下で充電することだ。これも同じく寿命を縮めてしまう。これを防ぐために、このバッテリーには温度センサーが備わっており、40℃以上の時に充電できないようにされている。
 他にも過電圧による過充電防止機能、各バッテリーセル電圧の均等化機能など当たり前の機能は備わっているようだ。

 なかなかやるなこのDJIという会社は。中国の企業とは思えぬハイクオリティ。ここまでバッテリーに気を使える会社はなかなかない。
 ここまでされると、Intelligent Flight Battery 20,000円という価格設定はあまり高すぎるとは言えないように思える。リポバッテリーで、容量だけならだいたい同じもので6000円台のを見つけることができた。しかし上記のような機能はもちろんついていない。

 少なくともドローンとバッテリー間に電圧温度情報の信号線がある限り、単に+極と-極をつなげるだけではうまくいかないだろう。つまりIntelligent Flight Batteryを安い代替品にすることは難しい。
 それならばIntelligent Flight Battery自体を外で充電する方法は?大容量モバイルバッテリーを作るなんてどうだろう?
 これほど優秀なバッテリーの機能はそのまま使いたいし、実際現地で足りないのは電力だけ!できるかどうかは分からないが、ちょっと面白そう。



早速やってみることにした。

まず大まかな構想として、電源は重量エネルギー密度から最も有利なリチウムイオンバッテリーを使う。これを入力とし、出力側は3通り考える。
・17v4A DC→直接Intelligent Flight Batteryを充電できる
・12v6A DC→上記シガーライターカーチャージャーにつなぐことで充電できる
・100v AC
 →標準のコンセントタイプのバッテリー充電器につなぐことで充電できる

話はそれるが、持ち運びできる100v AC電源があれば非常に便利なのに意外とそういう商品はない。なんでだろう・・
今回は変換効率と電子回路の勉強のため一番上の17v4A出力の回路設計で行こうと思う。もし失敗したら2番目の12v出力で(笑)。

最低目標として、Intelligent Flight Batteryを5回以上充電できること。かつ値段が10万を超えないこと。


次回は電源部分に当たるリチウムイオンバッテリーの選別について